縄文人立話

縄文人A、Bのたわいのない立話。ちょっと立ち聞き。


人工知能と縄文時代



A:A.I.って知ってる?
B:歌手のAI?
A:違うよ、あの男よりひどい下ネタ言って、「ガハハ」と大笑いしそうな、日本の女性R&BシンガーのAIじゃないよ。
B:説明が悪口になってるよ!
A:大塚AIでも、卓球のAIちゃんでもないよ。
B:わざわざアルファベットにするなよ!
A:篠崎AIでも、片岡AI之助でも、AI席居酒屋でもないぞ。
B:分かってるよ! なんだよAI席居酒屋って。
A:AIじゃなくて、A.I.ね。エー・アイ。
B:人工知能のA.I.ね。以前、スピルバーグが「A.I.」って映画撮ってたよな。けっこう好きだったんだよな、あの映画。
A:おれも好き。ジュードロウの生え際がすごい面白い映画だろ。
B:そういう映画じゃねえよ! 確かにあの映画のジュードロウはロボット役で、おもちゃみたいな髪型になってたけど。
A:まさか、あのあと、現実にはどんどん髪の毛が後退していくとはね…。かわいそうに。
B:さっさと本題にいけよ! ほっとくとすぐに悪口になるんだから、もう!
A:ごめんごめん、冗談だよ、縄談。
最近、なんだかA.I.、人工知能の話題が多いと思わない? 身近なところではiphoneのsiriだったりとか、ソフトバンクが人工知能を持つヒト型ロボット「Pepper」を売り出したりして。スピルバーグの「A.I.」は10何年前の映画だけど、最近、映画もA.I.を扱った作品がとっても多いんだよ。たとえば最新の「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」、ジョニーデップの「トライセンデンス」、「チャッピー」に「her/世界でひとつの彼女」。まだまだほかにもあるけど、これってかなり人工知能が現実的な話になってきたって証拠だと思うんだよな。
B:そういえばあのホーキング博士が人工知能の危険性を断言しているっていうニュースも聞いたことがあるよ。
A:そう。ホーキング博士は人工知能は人間をこえるって断言してるね。それどころか「人工知能の進化は人類の終焉を意味する」ってずいぶん穏やかじゃない発言もしているんだ。
B:博士がいうと説得力があるよね。本当にやばいのかな。
A:でも、おれのほうがもっとすごいぞ。
B:なに博士に対抗しようとしているんだよ。おまえただの縄文人じゃねえか。
A:弥生時代になってさ、みんなで米作りでも習って、これからは稲作だなってときにおれは言ったんだよ「稲作の始まりは縄文の終焉を意味する」って。
B:ホーキング博士の予言みたいに言うな! なんだか複雑な心境だよ。
A:でもほら。おれの予言通りになっただろ。
B:えらそうに。
A:ホーキング博士は人間の能力を人工知能は凌駕してしまって、人間がコントロールできなくなるんじゃないかって言ってるんだけど、さっきあげた映画のテーマもほとんどそういう話なんだよな。もうそれって人類全体の恐怖のようなものになっているのかもしれないな。
B:それなのになんで人工知能を開発するんだろう。
A:そりゃあ、やっと技術的に開発できる環境になってきたからじゃないかな。開発できる可能性があるなら、開発しちゃうのが技術者っていうもので、そこに倫理観とかその先の「恐怖」は無いんだよ。
B:そうやって、文明は発達していったことは事実なんだろうけど…、なんかね。
A:ホーキング博士の警告は、博士が人類の知を押し広げた人だけに重みがあるよね。人類の文明に対する節度を要求しているのかもしれないよな。
B:本当に人類はうまく人工知能をコントロールできないのかな。稲作みたいにさ。
A:どうだろうな。しかし、お前の天然知能はあっというまに抜かれちゃうんだろうな。そういえば、この前イノシシと知恵くらべして負けてたもんな。
B:そんなことしてねえよ! イノシシと比べんな!